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経営業績は人の働きの総和である。
その根底にあるのは、企業の未来像を示し、求心力を働かせることでなければならない。
H氏には、この点ほうが勝ちだと思ったとき、詰めのものではだめなんですね。
(中略)私のほうが欠点は少ないでしょう。
だが、そのぶん魅力がない。
だから、社長業は落第です。
(「経営に終わりはない」)においてS氏には勝てないことが分かっていた。
「教祖」などと言った抑揃的な言い方にも既にこのことは見受けられる。
S氏は部下指導には厳しかったが、H氏も激しかった。
S氏のように手にしていた工具で殴りつけるといったことはなかったが、机の上が片付いていない責任者には、机をひっくり返して罵倒した。
Hの幹部たちは、S氏に殴られても妙に明るい気分になったが、H氏に叱責されたあとでは、暗諺とした気分がいつまでも抜けなかったという。
理詰めで考えるタイプの人は、このような、後に尾をひく叱責になることが多い。
逃げ場のない叱り方になるからであろう。
H氏はそのことを知っていた。
俺は大将になる器ではない、という思いは、H氏は、あくまで経営参謀としてHを育てていこうと覚悟を決めていたのである。
創業者こそ最大の経営資源。
社長には、むしろ欠点が必要なのです。
欠点があるから魅力がある。
つきあっていて、自分のH氏がやったことは、S氏のDNAを純粋培養することであった。
会社運営は経営管理の知識があればやれても、そもそも会社特有の「種」がなければ育てようがない。
Hがありえたのは、S氏が「種」を創造したからである。
それなら、S氏が去ったあと、Hはどうなるのか。
このことはH氏の最大の懸念であった。
もともと万物は流転するという世界観を持っていた人であるが、「種」が承継されていく仕組みを創造できれば永続性が生み出せないかと考えた。
企業の将来について、ここまで考えた経営者は珍しい。
社長にならなかった人だからこその問題意識であったろう。
トップの座につけば、在任期間中の成功が最優先事項になり、退任後は後継者の責任であるという割切りをしがちだからである。
H氏は幹部社員によくこう言った。
「HSはオレがでっちあげた虚像なんだ。
オレの目の黒いうちにそれをつぶさないとこの会社はえらいことになる」(中略)「いまみんなが持っているHS像は、Hの社外の人たちに信じてもらうために私が作ってきた虚像から出発しているんだ。
それがいまでは社内のバカどもが全部本当のことだと思っている。
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